甘志遠は辛亥革命の前年に上海に生まれ、長じて日本の大学に留学。国民党政権の通信技官となるが、日本占領下の香港では日本海軍武官府の支援を得て香港・
マカオ周辺を支配下に納める「海賊」として自立する。「戦争の世紀」を走り抜けた一中国人の自伝に詳細な注を付して、広東省沿岸における日中戦争の一断面
をアウトローの視点から切り取る。東北地方の「馬賊」に対応する南シナ海の「海賊」の実態が明らかに。
◆定価1800円+税
◆四六判 248頁 上製
◆ISBN4-7736-2408-6 C0022
(2000年4月30日)
目次
序にかえて
甘志遠自伝と日中戦争裏面史
アウトローたちの日中戦争
台湾政府と海賊
第一章 紫 金 山
祖 父
清国留学生
山寺で生まれる
許 嫁
革命軍の南京包囲
父の死
上海の学校へ
マラリア
北伐軍を迎える
日本留学
早稲田大学夜間部
●コラム 近代中国と日本留学
第二章 激化する戦争
電機技師
放送局長
日本軍の武器売却
東京出張
両広事変
日中戦争と南京脱出
桂林へ
仏領インドシナ
軍用無線機試作
「満州国」見学
須賀彦次郎大佐
●コラム ビルマ・ルート
第三章 日本占領下の香港
軍を離れる
海上運輸会社設立
砲撃の下
香港陥落
田尻大佐との再会
スパイ容疑
銃殺寸前
ラサビ島の私兵部隊
沿岸の武装勢力
日本商社との対立
日本海軍武官府
●コラム タングステン争奪戦
第四章 広東海防軍と海賊
中国人海上部隊
東沙島救出作戦
再び救出船を出す
マカオ特務機関
香港のヤクザ
陸軍小隊との誤衝突
震洋特攻隊
海賊の縄張り
海賊・林貴
アヘンと米
連合軍の香港上陸
●コラム 震洋特攻隊
中国独立海軍司令官 凌炳権
アメリカの対日戦略と日本の対応
第五章 広東沿岸反共遊撃縦隊
三竈島へ移駐
島岡吉郎
重慶政府の接収
マカオ奪回計画
張発奎に会う
広東空軍へ
上海脱出
海上反共部隊
台湾海軍の密貿易
南海に消えた夢
主な参考文献
関係年表
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